ソフロニーツキィはリヒテルから神様と称えられたピアニスト。
ウィキペディア参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%83%A9%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%84%E3%82%AD%E3%83%BC

昔60年近く前東京にいた頃、家の近くに水神さんがあった。
雪谷高校が建つ以前、その近く品鶴線を挟んで反対側、
低地帶の窪地のようなところにその水神さんはあった。
入り口は一方で常緑樹が三方を囲んで陽を遮り、
いつ訪れてもひっそりとした静けさの中にあった。
突き当たりに小さな木造のお社があり、
ここが神聖な場所であることが子供心に伝わった。
ここから品川に向かって馬込、鶴見に向かって御嶽山、
両方向はなだらかな丘陵がうねり麦畑を形成していた。
春先はヤゴの姿が水中にあったのを憶えている。
ここがなにより好きだったのは湧き水が地中から噴出して
浅い水面に浮かんで波紋を次々に作っている光景だった。
こんなところはもうここにしかないと、当時も心のどこかで感じていた。
それから程なく、周囲に開発が迫り、
水が湧かなくなった水神さんは消えてしまった。

ソフロニーツキィのピアノを聴いていつも思うのは、
湧き水が如きなんと自然なピアノの音かということ。
ソフロニーツキィのタッチがピアノから出てくる音は、
湧き水が砂をゆらし水面にそれと分かる姿を盛り上げ、
波紋を広げるさまそのもののように感ぜられるのです。