オモシロイ、とんでもなくオモシロイ。
敗戦後、「トンデモナイクニ」日本がどのように作られたか。
コソコソと秘密裏にクモの巣に絡め取られていく様子が
手に取るように伝わってくる。
屈辱的に、協力的に。
それは日本が進んで自らの手で売国し、
日本をトンデモナイクニ、オソマツナクニにした
ということを忘れず自覚したほうがよい。
条約や協定、そして密約といった法律がどういうものか。
その効力たるやアメリカの強欲絶大なパワーに圧倒される。
いったいどこまで日本はアメリカに追随従属していくのか、
させられていくのか、謀略を使った戦略によって日本を支配していく。
そうだったんだ、「日米地位協定」という法律によって
日本は完全にアメリカの植民地的属国になっている。
日本は経済と軍事でアメリカ国益のために使役させられる国になっている。
アメリカにすり寄らなければ政権を維持できない政治家と官僚の保身。
この現実を知らないで日本の政治の何をか語らんや。
自身よくも今まで知らぬが仏できたものだとあきれるばかり。
それにしても日本人は勤勉素直礼儀正しいのだが、
そのときの支配者の権力にたやすく屈服忍従従属しやすい。
これを失ったら日本人でなくなるという、命に替えても守ろうとする
民族固有の魂、精神的支柱を持たなかった、持つ契機がなかった、
持つ必要がなかった民族のようだ。
それもそのはずという一端は支配者の精神が高貴でなかったこと。
地位だけが高貴で犠牲は圧政によって強権的に被支配者に負わせたことだ。
国の存亡に際し、自らが責任を負い犠牲になることによって国全体を救い守る、
真の高貴さを示す(民族固有の魂、精神的支柱になりうる)
支配者(国父)が歴史上に現れなかったことにもあるのではないか。

今も続くアメリカ軍による日本占領体制。
アメリカは無謀な戦争を仕掛けた日本軍の真珠湾攻撃を
決して忘れずにいる。
アメリカにとって日本は今も敵国扱いなのだ。
その現実が「日米地位協定」。
それは紛れもないアメリカ軍の治外法権に反映されている。
事あれば「身の程知らずのジャップめ」となる。

人権無視被害から生じる影響は命、健康、尊厳に止まらず、
財産や環境をも破壊する。
それは往々にして、自分が生きている社会の現状や歴史に無頓着、
無関心でいることの無知から発生している。

「日米地位協定入門」前泊博盛編著 創元社