病気がちでよく不眠に陥ったカイザーリング伯爵は、
眠れない晩に少しは元気づけられそうな、
穏やかで、いくらか陽気な調子のクラヴィーア曲を幾つか、
ゴルトベルグ(お付きのクラヴィア奏者)のために作って欲しいとバッハに洩らした。
こうして生まれた「ゴルトベルグ変奏曲」を、眠られぬ夜が来ると、
「ゴルトベルグ君、ひとつ私の変奏曲を弾いてくれ」と伯爵は命じた。
フォルケル著「バッハの生涯と芸術」に「ゴルトベルグ変奏曲」
誕生の経緯がこのようなものであったと記されています。
沈んだ気持ちを明るくし眠りにつける子守歌のように穏やかな曲。
そうしたイメージでこの曲をあらためて聴いてみるのも面白いと思い、
何人かの「ゴルトベルグ変奏曲」をピアノ演奏で聴いてみました。
演奏者は等しくこうした曲想を描いて演奏しているものと思うのですが、
やはり各人各様で弾いた人の数の「ゴルトベルグ変奏曲」がありました。
ケンプはちょっと変わってゆるい。
野平さんは進むとうるささが気になってしまう。
チューレックは出だしが母の子守歌のようでいいのだが単調になる。
ユーディナは芸術作品としては素晴らしい演奏。
グールドは新旧ともチャーミング。
あとはニコラーエワを聴いてみます。
ニコラーエワはおばあちゃんの子守歌。
穏やかでやすらぎに満ちたゴルトベルグです。