シューベルトの清く健やかな心根を写し取ったかのようなケンプのピアノ。
自信にあふれた、ためらいのない闊達な指さばきからは、
端正で衒いがない明朗な音が響く。
力強くも激せずデモーニッシュにならず、生き生きと歌の心を奏でる。
ケンプの心音はシューベルトの大地に根を下ろして共鳴している。
健康な穏やかさに満ちた安心感がそこにはある。
それはシューベルトが願い望んだ世界だったのではないだろうか。

「イヨーッ ケンプ!」
シューベルトはケンプの十八番だと肯く。

番外
ソナタ13番 D664
リヒテル イン ハンガリー ブダペスト 1978/8/10
この演奏は心に沁みました。