春、雪融けが沢をほとばしる。
その縁に立てばなんと心躍るスリリングな光景であることか。
しぶきを上げ轟かしながらの様は変幻自在。

A NIGHT AT BIRDLANDの演奏を雪融けの光景と重ね聴いた。
1954年ハード・バップの幕開けとなった記念碑と呼ぶに相応しい演奏。
というのは後の評であって、ジャズマンはひたすら時代を疾走していただけだ。
WEE-DOTのドラミングを聴けば、ブレイキーは高らかにそう宣言して、
幕を切って落とすようなプレイをしているように聴こえてしまう。
センセーショナルなニュー・スター、クリフォード・ブラウンのブリリアントで
ほとばしるスリリングなプレイは熱狂的に迎えられ、
ハード・バップ・ジャズの魅力を余すことなく体現しています。
これぞジャズ最大の魅力でなくなんであろう。
奔流のごと時代を飲み込んだプレーヤーの演奏は、
今なお聴くものの心に感動を与え続けています。