民の字は金文によると人が目を刺された 象形とある。
何ゆえにそのような残酷なことをしたのか。
古代の為政者は神の意志を知る代償として生贄を必要とした。
犠牲になった生贄は目を刺し抜かれた人民。
民とはそうした政治支配の道具にされた神の奴隷だったという。

現代の視点からからすると考えられない、
人権に対する恐ろしい蛮行だと思うやもしれない。
だが見方を変えて考えてみると、つい70年前までの日本国は、
徴兵制度の赤紙一枚で、あたかも目を刺し抜いたように
国民を戦地に送り込み、玉砕させたり餓死に追いやったではないか。
何のために・・?
誰のために・・?
そこにある日本人は、主権なく人権を奪われたに等しい民。

金子みすゞは「大漁」に詩った。

朝焼け小焼けだ 大漁だ
大羽鰮(おおばいわし)の 大漁だ
浜は祭りの ようだけど

海のなかでは 何万の、 
鰮(いわし)のとむらい するだろう

勝った勝ったと、政府と軍の宣伝に喜び踊らされ、
浮かれて提灯行列してるれど、
戦地では何万という兵隊さんのとむらいするだろう。