今朝、起きがけに目を閉じて聴いたCDに感動!
オーケストラの響き、耳を澄ましてのピアノの音が心をとらえる。
音楽が心を満たし、なんとも良い気持ち楽しい気分ひたる。
清流を軽やかに転がる石のような自然な指さばきからは、
なんと玲瓏な響きが伝わってくることか。
音の強さと早さにかかわらずタッチが深くニュアンス豊かな表現。

聴いたのはモーツアルトのピアノ協奏曲第9番K.271「ジュノーム」
ピアノはクララ・ハスキル、ザッヒャー指揮ウイーン・シンフォニー・オーケストラ。
愛らしさ朗らかさ快活さを謳う起伏の多い旋律を、
ピアノはオーケストラと生き生き紡いでいく。
アンダンティーノは一転モーツァルト内面の世界へと向かう。
青春の戸惑い、遠くを見る眼差し、何事かを独白するかのような呟き。
想いを確かめ恂恂たる心の内を繰り返し綴っていくポエムのような旋律。
ハスキルが奏でる音の響きは深く静かに悲しみをコラージュする。

ハスキルについて書かれた吉田秀和氏の文章です。
二人の女性ピアニスト ~ハスキルとヘブラー~  から。
“ハスキルをきいて、まず、私の心に訴えかけてくるものは、
作曲家の作品にこめた《創造の息吹き》の自然な流れである。
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録音 1954年