チャーリー・クリスチャン(1916年7月16日ー1942年3月2日)

あか抜けしたシングルトーンがスウィウングしながら飛んでくる。
弾けるようなスウィウング感を伴ったこのシングルトーンは実にモダン。
コンボ演奏からクリスチャンの音だけが、時代を超え抜け出てくる。
どんな音も時代の響きを纏っているものだが、
クリスチャンの音と節回しは80年の時を超え、
柑橘の皮を剥いたときの香りのように広がる。
そして、どこをとっても音の佇まいが端正で瑞々しい。
時代はスウィウングからバップヘ、ジャズは新しい表現へ向かっていましたが、
クリスチャンのプレイはすでにモダンジャズそのものでした。
クリスチャンのモダンはこれからもずっと、
クラシックとしての精神性を持った音楽としてあり続けていくと思います。

1942年に25歳で亡くなるまでに残された録音は1939年からの3年間のみ。
1939年にジョン・ハモンドに見いだされ、ベニー・グッドマン楽団に入るまで、
それ以前の消息や活動が伝わっていないのはもどかしいかぎりです。
残された録音の多くはエアチェックやアマチュアによるライブ録音で、
クリスチャンのソロを長い時間フィーチャーしたものはごくわずかです。
3年間の記録は、1925年から28年までのルイ・アームストロングの
ホットファイブとホットセブン同様、ジャズの歴史に残る永遠の青春だと思います。
その演奏は一音でスウィウングし、一音で即興し、一音に命が宿る。

1941年5月、ハーレムにあるセシルホテルのミントン・プレイハウスの記録の中に、
クリスチャンの最良の時間があるように思う。

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