小布施のジャズ喫茶 BUD

♪日々好音の米蔵空間で薫り高い神戸萩原の炭火焙煎コーヒーを♪

クラシック

藤井貴宏さんのコンサートを終えて

二夜連続のコンサート当日は、
強い寒のもどりで心配だった雪が降らずほっとしましたが、
冷え込んだ夜空に星が光って三月とは思えないような寒さでした。

40名の聴き手の耳と目線を正面間近に受けながらの演奏は、
狭い室内をことさら小さく感じさせて、
さぞかし緊張した時間だったとことと思います。
しかも、じっと静けさを保って一挙一動を見つめられ
聴かれているとあっては、さすが藤井さんも演奏の合間に
静かなことに感謝しながらも、張った空気を和らげるような
話を入れて笑いを誘っていました。
その話しぶりには、5年というドイツでの修行で培った
人間としての成長ぶりが表れていました。

どんな音楽ジャンルにかかわらず、いつも音は演奏家の魂だと、
そうでなくては音楽は聴き手の心にとどかないのではないか。
と、そんなふうに思うとも思わずしながら、その善し悪しを
自分に合わせて聴いています。

藤井さんのオーボエを聴き始めて何年になるでしょうか。
そして何回聴いてきたことでしょうか。
その都度、藤井さんはいい意味で変化してきたように思います。
そして、その変化が成長という形としてはっきりと示されたのは
今回が初めてのようにぼくには感じられました。
それは身体という器から不足のない安定した音が出てきて、
整った心技体の初形が現れたといってもいいかもしれません。
ちょっと大げさに言えば、演奏家藤井貴宏が誕生した場に
居合わせたとような心持ちがしました。
数多の才能がひしめく世界で一人前になるのは大変でしょうが、
そこを突き抜けベルリンフィルに入ってもらいたい。
今後の活躍を心から期待して、次回を楽しみにしたいと思います。
2,3年後また来てくれるとうれしいですね。

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オーボエとピアノの夕べ藤井貴宏(オーボエ) マティス・ファイト(ピアノ)

オーボエとピアノの夕べ 藤井貴宏(オーボエ) マティス・ファイト(ピアノ)


ブログ用

ソフロニーツキィのピアノ

ソフロニーツキィはリヒテルから神様と称えられたピアニスト。
ウィキペディア参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%83%A9%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%84%E3%82%AD%E3%83%BC

昔60年近く前東京にいた頃、家の近くに水神さんがあった。
雪谷高校が建つ以前、その近く品鶴線を挟んで反対側、
低地帶の窪地のようなところにその水神さんはあった。
入り口は一方で常緑樹が三方を囲んで陽を遮り、
いつ訪れてもひっそりとした静けさの中にあった。
突き当たりに小さな木造のお社があり、
ここが神聖な場所であることが子供心に伝わった。
ここから品川に向かって馬込、鶴見に向かって御嶽山、
両方向はなだらかな丘陵がうねり麦畑を形成していた。
春先はヤゴの姿が水中にあったのを憶えている。
ここがなにより好きだったのは湧き水が地中から噴出して
浅い水面に浮かんで波紋を次々に作っている光景だった。
こんなところはもうここにしかないと、当時も心のどこかで感じていた。
それから程なく、周囲に開発が迫り、
水が湧かなくなった水神さんは消えてしまった。

ソフロニーツキィのピアノを聴いていつも思うのは、
湧き水が如きなんと自然なピアノの音かということ。
ソフロニーツキィのタッチがピアノから出てくる音は、
湧き水が砂をゆらし水面にそれと分かる姿を盛り上げ、
波紋を広げるさまそのもののように感ぜられるのです。




ラモーを聴きながら

今日はジャン=フィリップ・ラモーJean-Philippe Rameau[仏], 1683年9月25日 -1764年9月12日)
を聴きながら小布施まで歩いた。ラモーは、
バッハ(Johann Sebastian Bach[独], 1685年3月31日 - 1750年7月28日)と同時代の人。
ルネサンスから150年後の頃に生まれ、ベートーヴェンが生まれる1770年ころ亡くなる。
さて、曲はクラブサン曲集(1706~1728)で、
演奏者はマルセル・メイエMarcelle Meyer, 1897年5月22日 - 1958年11月17日)のピアノ。
聴いていて耳が聴き止まった。
ちょっと分かりにくいというか感情移入ができないのは、
ラモーを聴くのは初めてということもあったが、
なにより音楽を生む感情の言語に戸惑いがあったような感じがあった。
感情の言語なんて変なことを言ってしまったが、
要はその人が生きた時代の自然(風土)と社会(政治宗教)の環境
が及ぼす精神的影響といったようなものといった意味合いです。
まあでも聴くにつれ活発で明るい歌謡風な曲や舞曲もあり、それはそれで楽しい。
そういえばメイエも初めて聴くピアニスト。
自身の中で少しずつ音楽が広がっていく。

今朝の空は灰色の雲に覆われて天井に少しブルーの島ができていた。
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マリア・ユーディナ(Maria Yudina)

マリア・ユーディナはロシアの女性ピアニスト。1899年9月9日~1970年11月19日
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%A4%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8A (ウィキペディア)
この人のレコードを欲しいのだが、
少ない(良盤はさらに少ない)高いで入手できないでいる。
今回、16枚組のCDが発売されたので早速聴いてみた。
バッハ4枚、モーツァルト3枚、ベートーヴェン5枚、シューベルト2枚、ブラームス1枚、
ムソルグスキイ・チャイコフスキイ1枚、計16枚という構成。
すばらしい!バッハでは平均律がとてもいい(好きな曲だし)
晩年のゴールドベルグはしみじみと味わい深い演奏。
沈着冷静、軽く浮かない、真面目直向に弾いているのだが、
好きで楽しいといった感じが伝わってきて、
バッハは伸びやかでけっこう明るいように聞こえる。
鍛え抜かれたタッチ、曲想によって慎重に磨かれた
音の響きは次々と空間に放出され音楽となっていく。と、いった感じだ。
モーツァルトは14番のソナタは好きだな。
20番のコンチェルト第二楽章はゆっくりとしたテンポが印象的ですばらしい演奏。
実に11分44秒。ちなみにリヒテル10分18秒、ミケランジェリ9分35秒、ハスキル8分31秒。
23番のコンチェルトも同様ですばらしい。玉音が鏤められている。
さて、次はベートーヴェンだ。5,12,14,16,17,22,27,28,29,32番のソナタ10曲と、
4,5番のコンチェルト2曲が収録されている。ディアベリ変奏曲はない。
大いに残念なのは曲によってライブレコーディング録音が良くない。
しかしなんという個性、独特の個性。音が息をしている。
弾き手と音が一体になって息をしている息遣い音遣いが聞こえてくる。
歌っているように呟いているように。
ベートーヴェンの音符にユーディナの魂が宿っている。

ズザナ・ルージチコヴァー(Zuzana Ruzickova )の平均律

チェンバロ: (独)Cembalo
ハープシコード(英) (harpsichord)
クラヴサン(仏)clavecin
チェンバロは馴染みの薄い楽器。
実物は見ることも聴くこともめったにない。
聴くのはCDかレコードになるのだけれど、
再生音の限界なのか、
金属製の弦をピックで弾く音はときに騒々しく、
自動演奏機のようでどうも馴染めない。
そう思っていたところ、ルージチコヴァーの
平均律を聴いたトタン、アレルギーが緩和された。
硬い緊張した高音が抑えられ、少し重めの穏やかな
鳴り響きはゆったりとして、落ち着いて聴くことができる。
演奏はオーソドックスでハッとするような個性は感じないが、
淡々と落ち着いた演奏は、バッハの音楽と聴くものを
結びつける親和力がある。

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藤井貴宏(オーボエ)with マティス・ファイト(ピアノ)が終わって

藤井貴宏さん(オーボエ) とマティス・ファイト(ピアノ)さんの演奏会が終わりました。
終了後、会場で話しかけられた言葉がうれしかった。
娘さんと来た女性は「こんな間近でこれだけの演奏を聴けるのは、なんて贅沢なの」と、
そして年配の男性からは「いい時間だったなあ」と声かけられました。
これはまた演奏を聴いた皆さん全員の感想だったように思います。

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マティアスさんとの幸運な出会いを藤井さんは素晴らしいものにしたなあ、
と言うのが演奏を聴いての率直な気持ちです。
マスタークラスのクリニックといっていい二人の関係は、
これからもきっと続いていくのではないでしょうか。
藤井さんより一回り年上にも関わらず、マティアスさんのナイーブで
謙虚な人柄は、演奏会から打ち上げの時まで、
おやじギャグを発しつつ終始穏やかで和やかでした。
快活な藤井さん、そんな二人の性格が意気投合しあった演奏会でした。

お二人の活躍を祈りながら、「また来てくれるかな・・?」の問いかけに、
「いいとも!」と返事をしてくれた【その日】を待ちたいと思っています。

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藤井貴宏オーボエ・コンサートwith マティス・ファイト(P)

【満席】御礼申し上げます。

BUD クラシック・コンサート  2012.9.16(日)
オーボエとピアノの夕べ~ 
藤井貴宏、オーボエ with  マティス・ファイト、ピアノ

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ヨゼフ・シゲティ バッハ『無伴奏バイオリン・ソナタとパルティータ』

ヨゼフ・シゲティ バッハ『無伴奏バイオリン・ソナタとパルティータ』
録音1959~60年
JOSEPH SZIGETI  BACH『6 SONATAS & PARTITAS』 Vanguard BG627/9

初めて耳にしたとき、これは大変聴きやすい演奏だと感じ、
安らぐような優しさと慈しみを覚えました。
この曲はこういう音楽なんだと、自分なりに納得できたような気がしました。
高い垣根だと思っていたのがさにあらず、低い垣根の向こうに美しい光景が
広がっていたことに対する喜びを感じました。

音色と響きに虚飾や潤色といったものが聴かれない、スッキリとした演奏です。
それはシゲティがこの曲をどう表現したよいかを長年思考模索し、
修練を重ねてきた音作りのたまものだと思います。
その結果、表現が技巧的なものから解放されて余裕があり、
それが聴きやすさになっているのだと思います。
深いものがシンプルにきこえるスマートな演奏です。
録音はシゲティが68歳の時です。

何であれ、よいもの、すぐれたものは数多くありますが、
自分の好みに合ったものに出会った時はうれしいものです。
それは自分の身に寄り添い愛着となり愛用になります。
僅かな音色の微妙な違い、その響きが好みの平衡に影響するようです。
そういう意味でこれは僕に合っていたのかもしれません。
以来、すっかり愛聴盤になりました。

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一つ気になったのは、古い録音をデジタル化したときの欠点で、
CDの音が硬くきついこと。
長時間聴いているとうるさく疲れます。
出来ればLPレコードで聴くようお勧めします。
上記の写真はオリジナルですが、イギリスの『CREMONA』盤は
復刻ながら音も良く、リーズナブルだと思います。

蛇足に。
クライスラーが残した唯一(僕の知るかぎり)のソナタ、
adagio in g minor  1926年録音。
ゆったりと余裕がある素敵な演奏で、
時を超え艶やかに響いてきます。


バイオリンとピアノのコンサート

~ヴァイオリンとピアノのコンサート~
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