アル・ヘイグ「AL HAIG TRIO」
アル・ヘイグ(ピアノ)ビル・クロウ(ベ-ス)リー・エイブラムス(ドラムス)
録音:1953年NY

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上の写真、ディスクユニオンの再発レコード(DIW-25035)はジャケットをオリジナルにした体裁だけのものでアナログLPらしからぬ音。そう思いながらも聴いていると、アル・ヘイグのプレイから少し暗くていくぶんの重さがつきまとう雰囲気が伝わってくる。これはブルース(人生の憂さ辛さ悲しみ苦しみ)というより、この人の持つ情念(幽愁)がかもし出すもののようだ。そう感じながら寺島靖国さんのライナーノートを読んでみる。これは寺島さんのアル・ヘイグに対する気持ちが分かり易い言葉でつづられていている素晴らしい文章で、深く聴いた人だけに、愛情を持って聴き続けてきたいた人だけに書けるものだと感銘を受けましたした。ここにその一部を引用して紹介します。「ヘイグのピアノの特長を一言で言えば、それは“かげり”である。しかしヘイグはその憂愁をべったりと表出しない。むしろからっと表現する。そこがヘイグの特長であり凄いところであり聴きどころである」。そして「ス・ワンダフル」の解説文に「この曲ではベースの音色が特に深く表現されているように思う」と書かれています。ですが、この再発レコードではそうした楽興の趣がきちんと聴き取れないのです。ピアノの音は硬く余韻がありませんし、ウッド・ベースも同様で張りのある胴鳴りの響きと、木質感の音色が余韻と共に再現性乏しい音です。そして音に艶と潤いと生気がないから、溌剌とした演奏の魅力が伝わってこないのです。1990年頃CDと同時発売。

そこでもう1枚のLPを聴いてみました。東宝レコードの「ア・デイ・イン・パリス」B面には8曲全てが収録されています。こちらも再発ですが、よりアナログLPらしい音で、ウッド・ベ-スの木質感と胴鳴りの響きと余韻が伝わってきます。A面はジョージ・ウォーリントン・トリオの演奏。聞きくらべるとわかりますが、ヘイグが翳りのある分、ウォーリントンがより明るく聞こえます。1970年始めの発売。

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