『ジャズ・レコード・ジャケット絵本』黒洲太郎著[岡村融監修]ジャズ批評社刊
ジャズ・レコードのジャケットには、それだけで飾っておきたくなるような、オシャレで優れたデザインが多いんです。しかもこの本に紹介されたレコード・ジャケットは、なんとまあほとんどがオリジナル盤です。オリジナル盤は音よし印刷よしで実の当時の雰囲気がギュッとつまっていて、手に持つとワクワクしてきます。しかも載せられているのは、主に50年代のジャズ全盛期のキラ星のような名盤の数々なのです。僕も音の良さからオリジナルを追っかけていますが、中には一度も見たことのないもの、あっても高価で買えないものが多く紹介されていて、どんな音がするんだろうなあと思いながらこの絵本を楽しく眺めています。
著者の黒洲さんは遠慮がちに「後世へのちょっとした遺産」と自負されていますが、僕も50年代のジャズが半世紀を超えて今に生々しく蘇ってくる、素晴らしい文化財だと思います。この価値は今後益々貴重になっていくことでしょう。

CDではなく何故レコードの音にこだわるのか?この本に書かれた著者のレコードの対する想いは僕も全く同じなので、引用して紹介させてもらいます。

『(アナログ録音で作られたその当時のレコードは)単なる懐古趣味だけではなく、耳の良い一部の人たちはCDでは癒されないということに気付き始めています。つまりデジタルでは脳内にアルファ波が発生しないのです。』

そういえば数年前、大阪枚方市の『ブルー・ライツ』を訪ね、レコード演奏を聴かせてもらいました。そこにはCDが置いてなかったので、「CDはかけないのですか」そうお聞きしたところ、言下に「CD?あれは音楽ではない」と言われました。なんという見識!鮮烈な印象を受けた、忘れられない一言です。

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