いよいよ本番。
ゆったりと落ち着いたピアノが響き始めた。
しばらくすると・・・・近くにいたNさんがささやく、
「ピアノの音変わったね、ピアノを換えたの」
「いや、海野さんのピアノの音が変わったんじゃないの」と僕。
それほどの変化が音に表れている。
四年前とは明らかに違う海野さんのピアノ。
誰もがNYに行けば表情が変わるというわけではなかろうけれど、
海野さんはピアノも顔も(ダテひげじゃないねえ)変わって戻ってきた。
どこが・・・・・といっても、的確には言えないが、
感じたことは、
音がとにかく落ち着いている。
はしゃいで撥ねるなんて皆無。
明るすぎず暗くない適度な音色。
装飾も少なくシンプルだけど、襞がある・彫りがある・陰影がある。
総じてプレイに味があり、深みも加わった。
優しいけどイージーにならずヤワでもない。
そんな印象を受けた。
トリオとして、グループのまとまりも良く、
バランスが取れていたように感じた。
よく知られたものから、埋もれた『スタンダード』までを、
自分の感性と技量で磨き、オリジナリティを出していこうとする
海野さんの姿勢は、ジャズという枠にとらわれず、
よい音楽を産み続けて行くに違いない。
また四年後にと言ってライブを終えた海野さん。
待ち遠しくも楽しみな四年後です。
年末の忙しく寒い日に足を運んでくれたお客様に
心から感謝申し上げます。
すばらしい演奏でお客様を魅了した、
海野さん、吉田さん、加納さん、
本当にありがとうございました。
本番前の音合わせ。