「バグス・グルーヴ」
1954年、マイルス28才の録音。
作曲はミルト・ジャクソン。
レコードに針を乗せると時代が甦ってくる。
モダン・ジャズの幕開けを告げる代表的名演奏が、
今もなお新鮮に響いてくる。
演奏者たちはけっして若いとはいえないが、
モダン・ジャズが若かった。
録音に刻されたのは演奏でありマイルスの肉声でもある。
この若々しいペットの音声が、
若葉を目にするように生き生きと懐かしく耳に入ってくる。

ドライブの効いたパーシー・ヒースのウォーキングベース。
そのリズムに乗ってマイルス・デイヴィス、ミルト・ジャクソン、
セロニアス・モンクが長いソロを溌剌とプレイしていく。
テーマとアドリブは良く吟味された無駄のないフレーズで、
弛緩とは無縁の演奏を展開し、緊張感の中で質の高い音楽を作っている。
テイク1、11分16秒とテイク2、9分24秒が片面に収録されていて、
連続して聴くのだが全く倦むことがない。

ところで、
パーシー・ヒースのベースの鳴り方がレコードとCDでは違うのだ。
レコードで聴くベースはより張りがあり音が前に出る。
ベースのリズムにマイルスのペットは波乗りでもするかのようにドライブ、
二人の躍動感がスリルあって面白く聴ける。
それが、CDだとベースの輪郭が甘くボケて
臨場感に乏しい演奏に聞こえる。

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