禁断症状が出れば正常でなくなる麻薬中毒はビル・エヴァンス生涯の宿痾だった。
一時断つも結局元の木阿弥になるのを繰り返した。
求める道を極める止みがたい衝動は,エヴァンスの肉体と精神を追い詰めたに違いなく、
その先に麻薬があったことは想像に難くない。
明日の演奏活動、才能と格闘しながら
今日を生きるぎりぎりの否応ない選択、
それはなんと度し難いことであったことだろう。
だから、、、というか、エヴァンスの演奏はいろいろあっても、
なにをかを想うやのように演奏するスローテンポの曲に引かれてしまう。
「MY FOOLISH HEART」愚かなりし我が心
「DETOUR AHEAD」回り道
「SOME OTHER TIME」いつの時にか
そこには浄化作用による安らぎがあるように聞こえる。

BILL EVANS「WALTZ FOR DEBBY」
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このアルバムは、スコット・ラファロの小刻みに震えるピッチカート奏法が素晴らしい。
なんという生々しさ、ラファロのベースは永遠の輝きを放っている。
彼はこの録音10日後に交通事故であっけなく亡くなってしまう。