「胡堂百話」は銭形平次の著者野村胡堂が語る百の話。
胡堂の小説は一つも読んでいませんが、
ペンネーム「あらえびす」で音楽評論をしている「名曲決定盤」は愛読しています。
温故知新の頼りとしている羅針盤です。
発行は昭和14年(1939年)、紹介されたレコード盤は全て当時のSPです。
SPは手回しでゼンマイを巻いて回転させる蓄音機で掛けます。
音は鉄針で拾った振動をサウンドボックスという振動板に集め、
サウンドボックスに接続された管で増幅し、
先端のラッパから出てきた音楽を聴きます。
電気を使わず増幅した音は想像を超え生々しく、
当時の人はなんと豊饒な音空間で感動して音楽を聴いていたか察せられます。

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戻って、胡堂百話の一話。
「書斎」と題された一文から。
柳田国男が書斎の本箱から出した「チャーム・オブ・ロード」
イギリスの一夫婦が田舎道の趣味を説いた紀行文が楽しいと話しています。
「目的地を決めて、ツーと行って、ツーと帰るのは、旅行というよりビジネスですね。
本当の旅行趣味といえば、何もない普通の道を、この山を越えたら何があるのか。
この森の向こうは、どうなっているのか。 那須の奥から、南会津へ抜けたのなどは、
最も興味がありました」と、語っている。
これはもうなんという贅沢な時間と、想像の逞しい豊かな旅であることか。

コロナ後は、そんな旅をしてみたいですね。