アルツール・シュナーベル(Arthur Schnabel)  1882/4/17ー1951/8/15

シュナーベルについては、あらえびすが言い尽くしているので、
屋上屋を架すことは控えたいと思います。
書かれている通り、ベートーヴェンをもって第一 とすることに変わりありません。

今どき、ベートーヴェンのピアノ曲をシュナーベルから聴き始める人は、
まずいないと思います。
僕もいろいろ聴いているうち、シュナーベルにめぐり逢い、
精気溢れる演奏の素晴らしさに気がつきました。

好きな曲を何人かの演奏家で聴いているうち、比較はしても分析することなく、
素人なりの「カン」で良さをつかんでいく。
その感じた良さというものを、的確な言葉で表現できればいいのですが、
それは大変難しいことです。
百聞(の言葉)は一見にしかずで、また一聴に如かずとして、
感動を言葉で共有化し、音楽を美しい言葉の額縁で飾るのは、
才なき無謀と心得、ただ終始一貫音に感じ入って楽しんでいます。

さて曲目ですが、みんないいので選ぶのが困ってしまいます。
ナチスのユダヤ人排撃でドイツを逐われ、英国で最初に出したレコード、
ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第五番」1932年録音 サージェント指揮 ロンドンフィル
この第二楽章の官能的なピアニズムには唸りました!
フルニエとのチェロソナタもいいですね。
弦とピアノの面白さが遺憾なく発揮された演奏です。
モーツァルトとベートーヴェンは当代一のピアニストでしたから、
チェロやヴァイオリンソナタは、ピアノが生き生きとしていないと面白くありません。

シュナーベルのモーツァルトは、ミューズとのやりとりによって生まれモーツァルトの音楽を、
深く澄んだ音からなんと見事に再現されていることか!
ピアノ協奏曲第27番の神韻縹渺たる演奏は特異。