僕がオーディオにおいて最も感動するのは、
レコードから素晴らしい音と音楽が一体となって流れてきた時です。
前回、オーディオは良き曲、良き演奏、良き録音のレコードを再生することだと、
そう書きましたが、まさにそれを体験している時に感じる素晴らしさです。
さて、そこで思うのですが、感動とか素晴らしさという内部の反応はどうして起こるのでしょう。
胎内の頃から生まれてこの方耳に入ってきたあらゆる音、それがある感情と結びついて、
ほとんど無意識的に蓄積され、音楽を通し目醒め解放される化学的反応。
そこに感動とか素晴らしいという想いが浮かび上がってくるように思います。
雑味のない澄んだ抜けの良い音が生み出すオーディオの再生音は、
音楽が生き生きとして本当に気持ちの良いものです。
そのような音を再現する条件として最も重要なのは、
僕の経験ではレコードの音質です。
どこのお宅のどんな装置にも共通して一致するのは、良いレコードをかけた時に、
その装置は一番良い音がするということです。
では良い音のレコードとは何かというと、最初に出たオリジナルです。
1950年代のオリジナル盤は、60、70、80 年代に再版されていくに従って劣化しています。
劣化は音の鮮度に表れ、張りのあるなしで聞き分けられます。
以上はオーディオ的美音の話で、それでないと音楽的感動はえられないということではありません。
ラジオから流れている音楽にハッとして聴き入ることだってままあることです。
あくまでもオーディオ的な趣味として、よい曲よい演奏よい録音のオリジナル盤は、
前回書いたように僕にとってオーディオの魂なのです。
音楽的感動の在処なのです。