1950年以前、SPレコード時代の録音は、
今とはかなり違っていたと思います。
一発録りの真剣勝負、気合いと緊張がみなぎる現場で、
演奏者も録音技師も最高のパフォーマンスを見せたのではないでしょうか。
音を自在に操作するテープレコーダーや各種エフェクターのない時代、
演奏者の音はほとんど加工されることなく録音されていたと思われます。
これを原音として、LPやCDに復刻する際、どのようにリマスターするか、
ノイズの除去次第では原音から遠くなるし、主観が強いとこれも原音から遠ざかる。
技術者としての感性と技術、腕の見せどころといってもいいでしょう。
音楽を聴く側はそれらを通し、気になるノイズもさることながら、
もっと気になるのは、演奏と曲の距離が近いか疎いかということです。
近ければ、それは良い演奏であり、良い録音だということです。
(リマスターの音も含めて)。

近年の録音は歪みのない音だと思うのですが、
録音された音を様々な機材で音作りがなされ、
聴きやすいというだけで、演奏者と曲との距離が空いていやしないか。
演奏技術と録音技術の腕は上がったが、曲の持ってい魂、演奏者の真摯な精神、
それが感じられなくなっているような気がする。
古い録音の演奏には、それを感じ聴き取れるように思います。
僕が古い録音の音楽を聴くのも、そんなところに引きつけられているからだと思う。

ライブと録音では印象は違うと思いますが、、、。