一流とか超一流という呼び名は、その分野のエキスパートに与える尊称のようなもの。
パフォーマンスにおいて技能技術や知識が特段に優れている場合に使うことが多い。
そこに人間的な強さと優しさが加わると、その人は「ほんもの」と呼ばれる。

さて、音楽における「ほんもの」とはどういうものか、
対象を演奏をする音楽家に絞って考えてみると、
自分の音を持っている人、と言っていいのではないかと思います。

少し横道になりますが、先日あるオーディオファイルのお宅でSPレコードを聴かせてもらいました。
ヌヴーのヴァイオリン演奏でしたが、曲と演奏技術と人格が一体となって、
まさにヌヴーがそこにいるように聞こえました。
ライブ演奏の再現性として、その音はLPとはまるで別物で比較の枠を超えています。
しかし、そのような音体験は簡単にできるものではありません。

今日、CDやLPで音楽を再生する時、曲とか演奏に行く前に、
演奏家の音がその人の音になっているか、
ということが気になる演奏家に出会うことがあります。

最近聞いたジュリ・アレンというピアニストの音は、
「あたしの音になっている」と、問われているようで、
自分の再生装置から出ている音とにズレがあるように感じました。

そんなんで、録音から再生までオーディオのリアルとは何か、
ということをちょっと考えてみました。