最近はレコードをほとんど買わなくなりました。
CDは買うものの新しい録音に興味なく、
ジャズもクラシックも古い録音のものばかりです。
特にクラシックはSP復刻ものが大半を占める。
音質的には厳しいものもあるが、新品無傷に近いSP盤を復刻した音は、
帯域こそ狭いけれど、中域に張りがあり充実した音で名演奏を聴かせてくれる。

先日買ったバド・パウエルのバードランド1953というCDは、
ダイレクトカッティングされたディスクからの復刻らしく、
スクラッチノイズはするものの、それを上回るバドのプレイが素晴らしく、
ライブらしい熱気に溢れて、集中して聴くことができました。

こうした思いもよらない良質な音源が発掘され、
発売されるのはファンとして嬉しい限りです。
そこには再録音した音をリマスタリングしてCDにする名人がいます。
ジャズはヴァンゲルダー、クラシックはマーストンが特に有名です。
その名はCDに必ずremastered by〇〇と表記されています。

人気がある現代の名演奏家のコンサートはチケットが取れないとか、
地方にいると行きずらかったりと、気軽には聴きに行けません。
でもなぜかCDを買って聴こうという気にならないのは、
聴きたければYouTubeで間に合ってしまうからだと思うのです。

古い録音のCDだってYouTubeにあるのに、どうしてそれは買うのか、
それは価値観が違うからですね。
古くても生き残っているのは、それだけの価値があると認められたからで、
不易流行に思い入れがあるからです。
現代に続く伝統に触れて感じる事が大切と思うからです。
時代を遡り掘り下げていくと、その断層には意外と新しく、
決して古びない感性が息づいているのが感じられることが多いものです。

文明の恩恵に浴するほど森羅万象に対する関心と感性は薄まりますから、
それを根にしている芸術への創造と需要は、薄いものにならざるを得ない運命です。
だから時代が遡るほどに、芸術性は高くて貴重なのだと思います。 

僕は時代を遡った音源のレコードやCDを自分のオーディオで聴きたい。
古い音源から熱い創造への意欲を聴き取りたいと思っています。
モダンジャズに関していえば、1945年頃から1955年頃までの約10年間に創造は爆発しました。
その後10年間に先鋭化し、やがて活動は沈静化に向かいました。