美味は一口で、美音は一音でそれと判ります。
人間の感覚の鋭いことは恐ろしいほどです。
美的感覚は誤魔化しが効きません。
アミノ酸やドンシャリなど不自然な添加と誇張は、すぐ見破られます。
不味ければ食べない、ワクワクしない演奏は聴かない。
徹底してできることではありませんが、わかることが大切だと思います。

時々オーディオ好きのお宅をお訪ねし、聴かせてもらうことがあります。
名機器を所有している方々で、皆さん長い音旅の遍歴で得た音味が出ています。
演奏と録音が素晴らしいレコードがあり、録音は忠実に再生されています。

もちろんその音を聴くのが目的なのですが、
機器だけの音を聴きにいくわけではありません。
それ以上に興味があるのは、その人のオーディオから鳴っている演奏は、
自分にとってワクワクする音楽かどうかが最大の関心事です。
オーディオはレコードの音を超えられないので、
就中、良い演奏と良い録音の美味しい缶詰めオリジナルレコードは、
オーディオの装置より100倍欲しいのですが、それも最近は執着しないようになりました。

良い音で良い音楽が聴ければオーディオはなんでもいいのです。
なんて、そこが問題なんですけどね。
でもあえて問題にしないようにしています。
僕にとってジャズはJBL、クラシックはタンノイは常識ではなく迷信ですから。